おとーちゃんの最近の患者さん
おとーちゃんは理学療法士です。
総合病院にて主に整形外科、脳神経外科の患者さんのリハビリテーションに携わることが多いです。
おとーちゃんは特に外来リハビリテーションに力を入れているので、自宅から通ってリハビリを受けにくる患者さんが多いです。
最近の患者さんの話をします。
主な訴えは腰痛。右も左もだそうで、骨盤の中心にある仙骨をさすっています。
料理などの家事を長時間(約40~50分)行うと、姿勢が徐々に丸くなってしまい、姿勢を戻そうとすると腰痛が生じてつらくなるとのことでした。
おとーちゃんは問診に時間をたくさん費やします。
理由は、
- ある程度原因を絞れるから
- 動いていたいのか、動かなくても痛いのか、をよく聞き、リハビリでよくなるものなのかを予測するため
- 危険な病気や怪我が隠されているかもしれないため
大きくはこの3つです。
時間を費やす時で、20~30分話を聞きます。
この患者さんに対して、医師の診断は「仙腸関節障害」でした。
骨盤というのは、腸骨・仙骨・坐骨が組み合わさったもので、腸骨と仙骨が関節としてつながっている部分に炎症などの障害が起きた状態です。
手術の必要性はないとの判断。
おとーちゃんも問診後にさまざま診ましたところ、腰痛の原因は、筋・筋膜性、つまりは筋肉への負担が原因でした。
背骨が大きく変形していたことや、筋力が不足していたこともあり、長時間家事をしていると背中の筋肉に負担がかかっていたという状況でした。
姿勢を維持する運動と、筋肉をほぐすマッサージのようなことをすることで、その患者さんの腰痛はほとんどなくなりました。
危険な腰痛をあぶり出す
問診が大事と言いましたが、なぜかというと、腰痛は危険な病気や怪我による信号の可能性があるからです。
Red Flagsといわれるスクリーニングがあり、おとーちゃんは必ず行います。
- 発症年齢20歳以下、または55歳以上
- 時間や活動性に関係のない腰痛
- 胸部痛
- 癌、ステロイド治療、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既往
- 栄養不良
- 体重減少
- 広範囲に及ぶ神経症状
- 構築性脊柱変形
- 発熱
これら項目に引っかかると、悪性腫瘍、感染、骨折などの危険な病気の可能性が高まるため、すぐに医師に報告し検査を受けていただきます。
これらの病気が腰痛を引き起こしてたとして、マッサージや運動で改善するはずがないですからね。
念の為、可能性がある病気をいかに並べておきます。
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎分離すべり症
- 変性脊椎すべり症
- 代謝性疾患(骨粗鬆症、骨軟化症など)
- 脊椎腫瘍(原発性、転移性など)
- 脊椎感染症(化膿性脊椎炎、脊椎カリエスなど)
- 脊椎外傷(圧迫骨折など)
- 脊柱靭帯骨化症
- 脊柱変形
- 脊髄腫瘍、馬尾腫瘍
- 腎結石、尿路結石、腎盂腎炎など
- 月経周期随伴性症状、子宮内膜症、妊娠、骨盤部腫瘍など
- 膵炎、胆嚢炎、穿通性潰瘍など
- 腹部大動脈瘤、解離性大動脈瘤など
- うつ病、ヒステリーなど
不安になったらぜひ検査に行くべきです。
先日、じいじ(おとーちゃんの父)からも腰痛の相談がありましたが、このRed Flagsに該当しなかったたため、理学療法士として腰を診ました。
ぜひ参考にしてください。
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