先日の整形外来にて
おとーちゃんは理学療法士をしています。
最近の担当は整形外科が多いです。
そのため、怪我をして入院している方、慢性的に痛みなどを抱えている方、に対してリハビリテーションを提供しています。
先日、他の病院よりリハビリ目的で紹介されてきた女性の患者を診ました。
他の病院で、長年痛かった股関節を手術し、人工関節にしてきたという患者(人工股関節全置換術)。
約2週間で退院したらしく、長年痛かった箇所は痛みなく経過しているようでした。
ところが、退院して間も無く、
手術した股関節が徐々に痛くなってきたそうです。
再度受診するも、人工関節には問題なく、リハビリテーションをしましょう、と医師に言われたそうで、ウチの病院を紹介されたそうです。
原因は?
ウチの病院を受診したのは、手術してから2ヶ月後。
ウチの整形外科の医師が診察しても、痛みの原因はよくわからず、
筋肉かな?
程度の所見でした。
さて、リハビリ室に来室し、いざ評価。
するとですね、手術した側の股関節周りの筋肉は「滑走性」がほぼなく、関節の動きも、正常と比べると1/3ほど・・・。
筋肉や靭帯などの組織間では、通常それぞれが独立して動くため、滑るような状態になっています。
つまり、
手術したはいいものの、以前より関節が動かず、それに伴い痛みが出現していたというわけです。
よくないですよね。
患者に聞くと、
手術した病院では、リハビリは2〜3回しかしておらず、リハビリ内容は松葉杖で歩くような練習だけだったと。
あー。
とおとーちゃんは思ってしまいました。
なぜかというと、
手術すると、もちろん皮膚や脂肪、必要に応じて筋肉を切らなければいけないわけですが、
それらが時間をかけて修復していく中で、必ず「癒着」が起こってきます。
炎症が起こると、組織間がくっついてしまう現象。重度の癒着では、手を使っても剥がれない状態となるものもある。
この癒着が起こると、組織間でくっついてしまうので、動きが悪く、もちろん伸び縮みもしないため、関節の動きが止まってしまいます。
関節の動きが悪くなると、正常の動き方なんてできなくなるため、上手に立つ、歩く、なんてできません。
いわゆる「びっこをひく」というやつです。
日常生活内で、常に「びっこをひいて」歩くと、もちろんいろんなところへ負担がかかります。
負担がかかれば、痛みとして出現することが多いです。
みなさん、普段からずっと腰を曲げて歩いてみてください。
腰がどんどん苦しくなり、痛くなってきますよ。
手術後に、関節周りに癒着を起こしてしまうと、このような現象が起こってしまうのです。
手術後はリハビリをするべき
結論からいうと、
骨折や変形性関節症などの整形外科疾患に対する手術をする場合には、術後リハビリをやった方が良いです。
なぜかというと、
手術後は、炎症により、腫れて、浮腫んで、赤くなって、痛くて、という状況になるわけですが、
これが長続きすると、関節は硬くなっていきます(拘縮)。
さらに、手術した箇所とその周辺が修復していく過程で、癒着が進んでいきます。
癒着が進行すると、関節は動かなくなり、それを除去するには再手術が必要となってしまいます。
この
- 炎症に長期化
- 癒着の進行
を予防できる手の1つがリハビリテーションなのです。
最近の多くの病院では、周術期リハビリテーションというものを行う施設が増えてきました。
手術をする前に、手術をした後に、可能な限り生活に復帰できるように身体機能に対してリハビリテーションでサポートするといった内容です。
特に整形外科疾患に対する手術では、術後リハビリテーションがとても重要です。
炎症の長期化を防ぎ、癒着の進行を予防するような、物理療法(寒冷療法、超音波療法)や、筋肉などの滑走性を促す運動療法ができるのは、リハビリテーションです。
もしも、整形外科で手術を検討しているのであれば、ぜひリハビリがあるのかを聞いてください。
医師に骨や筋肉を治してもらうだけでは、今後の生活への影響を取り除ききれないこともあります。
手術しても、良くならない、なんてことになっては困りますよね?
手術した意味ない、なんて・・・。
だって体に傷をつけるんですもの。
そんなことにならないためにも、
ぜひ、ご相談を!
おとーちゃんへのご相談も受け付けております!
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