国産初の新型コロナ飲み薬
以前にも紹介した新型コロナウイルスに対する飲み薬である「ゾコーバ」。
2022年11月22日付けで、
厚生労働省より「SARS-CoV-2による感染症」の適応で、
緊急承認制度(医薬品医療機器等法第14条の2の2)に基づく製造販売承認を受けました。
また、
2022年3月に塩野義製薬と厚生労働省との間で締結した「本剤の国内供給に関する基本合意書1」に基づき、
日本政府が100万人分を購入する売買契約を別途締結していたことも発表され、
日本国内にいよいよ、飲み薬が流通することとなります。
従来の感染症に対する薬よりも、流通が早い気がしますが、
やっとコロナ禍が収束に近づくか?
といった期待感が高まります。
昭和三十五年法律第百四十五号
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
第四章 医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売業及び製造業
(緊急承認)
第十四条の二の二
第十四条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第二項(第三号ハに係る部分を除く。)、第六項、第七項及び第十一項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その適正な使用の確保のために必要な条件及び二年を超えない範囲内の期限を付してその品目に係る同条の承認を与えることができる。
一 国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。
二 申請に係る効能又は効果を有すると推定されるものであること。
三 申請に係る効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより医薬品として使用価値がないと推定されるものでないこと。
ゾコーバとは
一言でいうと、
「軽症者向け飲み薬」です。
対象としては、12歳以上の重症化リスクが低い軽症・中等症の患者、とされています。
これまで日本では
「モルヌピラビル」「パキロビッドパック」
の2つの薬が軽症者向けの飲み薬として特例承認されていて、
これらは「重症化リスクの高い人」にしか使えませんでした。
しかしゾコーバは、「重症化リスクが低い軽症者」にも使えるという点が期待される点の1つです。
妊婦には使用できず、飲み合わせができない薬が多い、という点には注意が必要です。
ゾコーバの効果は
ゾコーバは発症から72時間以内に服用を開始します。
1日目は3錠、2〜5日目は1錠を、それぞれ1日1回服用します。
これにより
- けん怠感
- 発熱
- 鼻水・鼻づまり
- のどの痛み
- せき
といった5つの症状について「症状改善までの時間が短くなる」ということがデータで示されています。
このデータなどをもとに審議した結果、有効性が推定されるとして「緊急承認」となったわけです。
そう、緊急承認なので、あくまで推定されている、といった点がミソです。
ちなみに、副作用に関しては、
重篤な副作用はなかった、という研究データです。
ゾコーバの今後の課題
使い方の注意
軽症、かつ重症化リスクが低くても使えない人がいます。
それは妊婦、もしくは妊娠の可能性がある女性です。
動物実験で「催奇形性」、つまり胎児に奇形が生じるリスクが認められているからです。
子どもへの悪影響が、まだ懸念されており、
軽症なのに将来の子へ重大なリスクを背負わせることにつながるリスクがあります。
他の薬との併用ができない
高血圧や高脂血症など、36種類の薬と一緒に飲むことが禁止されています。
医師や薬剤師は、患者が飲んでいるすべての薬を確認する必要があります。
飲み薬は、患者自身も把握できていない可能性があるため、とても注意が必要となります。
おとーちゃんも禁忌薬や注意薬の一覧を見ましたが、
結構見るような薬もあるため、十分すぎるくらいの注意・確認が必要な印象です。
効果が限定的
発熱や鼻水など5つの症状の改善を早める効果ですが、
薬を飲まない場合の8日間から、飲んだ場合は7日間へと短縮される、
つまり1日早くなるという効果なんです。
え?1日だけ?
そして、肝心な重症化を予防する効果は現在までに確認されていません。
あれ?
なんか、救世主感、なくなってきましたね・・・。
現場の医師の声は厳しい
今回のゾコーバの位置付けとしては、非常に難しいと聞きます。
とある教授は、
「高熱や激しいせきなどに苦しんでいて、1日も早く改善してほしい場合は、我慢するよりは飲んだ方がいい」
「若い人は軽症が多く、どれだけ需要があるかというとかなり疑問」
「実際にこの薬を使うかどうかは、医師と患者の判断になる」
とおっしゃっています。
また他の医師は、
「現場にニーズはなく、どのようなシーンで使えばいいのかわかりません」
「重症化リスクの低い軽症の患者は、すでに解熱・鎮痛剤や、せき止めの薬などで十分に対応できている」
とおっしゃっており、
「ゾコーバがあるから大丈夫」
「ワクチンを打つ必要がなくなる」
といった風潮が出てくることに懸念を抱いているようです。
おとーちゃんの見解
なぜゾコーバが緊急承認されたのかは、いまいちわかりません。
特に目立った効果はなく、
課題も多く、
禁忌にあたる可能性が高いような薬だからです。
なんか、政府との絡みが関係・・・?
なんても思っちゃうくらいです。
しかし、コロナウイルスを体内から減らす薬、としては効果があるもので、
今後の新型コロナウイルスに対する経口薬の研究の一助にはなるのかなと思います。
ゾコーバのおかげでコロナ禍が収束する、
という未来はまだ見えません。
いまだワクチンを打った方が重症化リスクが低い、といった意見の方が強いのも事実。
今後のゾコーバの臨床的知見を集めていきたいと思います。
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