岸田総理の舵きり
新型コロナウイルスは現在、感染症法上「2類」に分類されています。
国や自治体が患者に対し、
- 入院の勧告
- 就業制限
- 外出自粛
の要請が可能となります。
また、
検査や治療の費用は国が公費で全額負担することになります。
最近、マスク論争なども含め、感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる見直しの議論があちらこちらで聞くようになりました。
岸田総理は元々、この見直し対して慎重姿勢だったようです。
ところが1月20日、
コロナ禍が3年経過し、国民や自治体、企業が疲弊する中、
社会経済活動の正常化に向けて、「5類」への引き下げを検討しているようです。
「できるだけ早いタイミングで(引き下げの)日にちを確認したい。」
とのことです。
感染症法では「2類に相当する」
重症化リスクや感染力に応じて感染症を「1類」から「5類」に分け、
国や自治体が行うことができる措置の内容を定めています。
その中でも、
新型コロナウイルスは「2類に相当する」という扱いとなっているようです。
ちなみに「2類」には、
- 急性灰白髄炎
- ジフテリア
- 重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルスに限る)
- 結核
- 鳥インフルエンザ
が該当しています。
また「5類」には、
- インフルエンザ
- ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)
- クリプトスポリジウム症
- 後天性免疫不全症候群
- 性器クラミジア感染症
- 梅毒
- 麻しん
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
が該当しています。
「5類」になるとどうなるか
ここが重要ですね。
新型コロナウイルスが「5類」になると、どうなるのでしょうか。
自宅療養、待機をしなくて良い
現在、新型コロナウイルス感染症と診断された方は、症状の有無に関係なく自宅療養することになっていますよね。
濃厚接触者も同様に、最大5日間の自宅待機となります。
ところが、「5類」感染症になると、
自宅療養や待機を要請する法的根拠がなくなります!
つまり、濃厚接触者や無症状、軽症の感染者は自宅待機する必要がないということです。
行政による病床確保や入院調整がなくなる
現在は、
各都道府県の自治体や保健所が中心となって、感染症指定医療機関や都道府県が指定した医療機関医療機関に病床確保を求めている状況です。
おとーちゃんの病院も要請を受けました。
5類感染症になると、自治体や保健所が入院調整を行う法的根拠がなくなります。
同様に、
外来患者の診療も、発熱外来で行う必要はなくなります。
これにより、
- 保健所の業務が軽減
- 他の保健所業務への対応が手厚くなる
- 病院によっては、新型コロナ患者用の病床がなくなることで、本来の病院ごとの特性に合わせた診療に注力することができる
といったメリットが考えられます。
一方で、5類になると、
確保病床がなくなることで「診たくない」という病院が増える、ということが予測されます。
これまで新型コロナ病床を確保することで、政府からの補助金が給付されていましたが、
5類になるとこれがなくなります。
他にもホテル療養がなくなることで、新型コロナ患者の受け皿が減るなどの事態も考えられますね。
公費負担ではなくなる
現在、新型コロナウイルス感染症に関する検査や治療、入院などは公的医療費で賄われています。
新型コロナが5類になると、公費でなくなる可能性が高いのです。
新型コロナに罹患した際の自己負担が増えるということですね。
検査費用は決して安くはありません。
また、
新型コロナの治療薬は、1回分で約10万円になるものもあります。
3割を負担だとしても、処方を希望する人は減ると予測できます。
おとーちゃんの見解
新型コロナウイルスは、まだ治療薬が確立しているとは全く言えない状況です。
死亡者数も増えている現状があります。
それなのに、「5類」に引き下げるということは、
- これまでは検査を受けて新型コロナウイルス感染症と診断されていた人が、検査を受けずに周囲に感染を広げてしまう
- これまでは治療薬を処方されて重症化を防げていた人が、処方を拒むことで重症化してしまう
ということが予測できます。
おそらくどんどん感染が広がるでしょう。
死亡者数もそれに伴い増加するでしょう。
マスクを外した以前の生活を取り戻したいという希望はあります。
ですが、
重症化リスクが高く治療薬を必要とする方が、費用のために適切な検査・治療を受けられないということは、
医療に関わる者としてはできるだけ避けたいと感じますね。
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